小川洋子著「バタフライ和文タイプ事務所」

 ここ数日、小川洋子著「バタフライ和文タイプ事務所」を何回も読んでいる。
三角形の土地に建つ三階建ての建物の二階にある和文タイプ事務所、主に医学部の大学院生の学会発表用の論文をタイプで打つ仕事をしている事務所に新しく入った一人の女性が主人公だ。
 この小説は、小さくて硬い地味な活字を通して、実に空想豊かでエロティックな小説が展開する。著者の丁寧で詳しい表現力で、真面目に小説世界に浸れ、面白い小説だった。