匂いの収集 小川洋子著
神戸の学習で、小川洋子著「匂いの収集」を読んだ。
彼女は匂いの専門家だ。この世のあらゆる匂いを収集するのを 趣味にしている。
人込みの中で、公園で、レストランで、彼女は不意に口をつぐ み、遠くの一点を見つめる。
「すばらしい収集だね」
僕が誉めると彼女は自慢げに微笑んだ。本当は匂いを集めるこ とにどんな意味があるのか、うまく理解できなかったのだが、彼女 の笑顔が見たいために、僕はしばしば戸棚の前に立ち、感心してい る振りをした。
この主人公は、匂いに興味があるのではなく、彼女が本当に好き なのだ。