吉本ばなな著 「キッチン」

 先日図書館で借りた、吉本ばなな著「キッチン」を読み始めた。吉本ばななの小説を読むのは今回が初めてだ。どんは作家なのか全然知らない。解説によれば、1987年「海燕」新人文学賞、’88年泉鏡花文学賞、海外での評価も高く、イタリアのスカンノ賞、フェンディッシメ文学賞を受賞とある。
「私がこの世でいちばん好きな場所は台所だと思う……」で始まり、女子大生『桜井みかげ』が主人公だ。
 「どこのでも、どんなのでも、それが台所であれば食事を作る場所であれば私はつらくない。できれば機能的でよく使い込んであるといいと思う。乾いた清潔なふきんが何枚もあって白いタイルがぴかぴか輝く。……ひと冬軽く越せるような食料が並ぶ巨大な冷蔵庫がそびえ立ち、その銀の扉に私はもたれかかる。油が飛び散ったガス台や、さびのついた包丁からふと目を上げると、窓の外には淋しく星が光る。
 私と台所が残る。自分しかいないと思っているよりは、ほんの少しましな思想だと思う。……」
 出だしからなんと詩的なのでしょう。
「どこにいてもなんだか寝苦しいので、部屋からどんどん楽なほうへと流れていったら、冷蔵庫のわきがいちばんよく眠れることに、ある夜明け気づいた。……」
 このように、桜井みかげはとっても感受性が強い女性です。このみかげが田辺家に拾われ(?)、雄一、その母(?)えり子と暮らすことになる。