アメリカ土産のチーズ

 筋向かいの田中さん家のご長男がアメリカから帰国された。今年37歳の彼は15年ぶりの日本である。彼は去年21歳のアメリカ女性と結婚し、11月にパパになった。今回はその新妻と生後5か月半の女の赤ちゃんのお目見えである。
 私達近所の仲良しは年に1〜2回一緒にバスツアーに行くが、夏の旅行の時は、お嫁さんの写真を持って来ており、
「可愛いでしょ。21歳よ。よく、家の息子と結婚してくれたもんだ」
と大喜びで、私達も一緒に喜びあった。
 昨年暮れのツアーの時は、赤ちゃんが生まれた直後だったので、田中さんの孫自慢が炸裂した。携帯電話の写真片手に、
「賢そうでしょ。まだ生まれて3日めの写真よ」
と、本当にうれしそうだった。私達も自分の孫のように嬉しかった。
 だから、私達はこの日を心待ちにしていたのだ。
 ゆうべ、田中さんがアメリカ土産だとチーズを持って来てくれた。そして、
「やっぱり大きいわ。こんなんよ」
と、手で腰の辺りを大げさにボインボインとかたどって見せた。携帯の写真ではお尻まで写っていなかったのだ。
「日本では合う服は売ってないわ」
と言うので、私は、
ユニクロでは?」
と言うと、
「売ってない、売ってない」
と、田中さんは嬉しそうに言った。余程お嫁さんが可愛いのだと私は思った。
 チーズは、とても美味しかった。