携帯電話の呼び出し音

 元さんは自治会役員の仕事として、戎公園の管理の1,2月の担当になった。
 この住宅団地には戎公園内の戎ホールと北谷公園内の集会所がある。住宅内のいろいろな行事の会場になる。
 戎ホールは1丁目〜5丁目で使い、北谷集会所は6丁目〜9丁目とさつき台、緑風台の自治会が使用する。
 元さんは戎ホールの鍵を預かり、使用する団体に貸し出す仕事をしている。やってみるとこれが思ったより大変な仕事であることが解ってきた。
 子供会、自治会、PTA、などなどの団体が毎日毎日、申し込み、確認、鍵の受け取り返却、等々、ひっきりなしに連絡してくる。申し込みに関してはすでに4月の分まで入っている。
 この連絡に関して携帯電話が用意されている。申し込みに関してはこの携帯電話が使用される。この電話の着信音がすごいのだ。どんなことをしていても絶対に聞き逃すことが無い。
「ワッ八ッハ、ワッハッハ、ワッハッハ……」
電話に出るまで大声で笑い続ける。
 元さんは真面目なところがあるので、四国に墓参りの時も名古屋の熱田神宮に行った時もこの携帯電話をポケットに入れて持って行っていたから大変だ。ところ構わず「ワッハッハ、ワッハッハ……」と笑い出すので、私は閉口してしまった。ところが、元さんは平気な顔でその電話の受け答えをしている。ちょっと感心した一面だった。