マタニティマーク

 大阪に行った。
帰りの電車は大変込んでいた。京橋で私は何とか座ることができてほっとしていた。隣に中年の三人組の女性が賑やかにおしゃべりしながら座っていた。その中の一人が前に立つ若い女性に席を譲った。若い人は喜んで座った。
「何か月?」
「五か月です」
「それつけてるから分かったわ」
女性はかばんにママと赤ちゃんの絵が描かれた札をつけている。「おなかに赤ちゃんがいます」と書いてある。
 後で調べて分かったのだが、これは「マタニティマーク」といって妊娠していることをさりげなく周囲の人に理解してもらえるようにデザインされたマークだった。このマークは2006年に埼玉県で生まれ、関東地方から徐々に広がり関西地方でも枚方市大東市などでも現在は母子手帳といっしょにもらえるようになっているようだが、まだあまり知られていない。私も初めて見たような気がする。見ていても意識していなかったのかもしれない。
 そばでたばこを吸わないようにする。
 電車、バス、などでは座席を譲ってあげる。
 ぶつからないように気をつける。
 重そうな荷物をもっていたら手伝ってあげる。
マタニティマーク」に気付いたらこのぐらいの優しさはいくらでも配慮できると思うが、しかし、このマークは賛否両論あるようでなかなか浸透しないようだ。
 そういえば、優先座席にお年寄りだけでなく妊産婦などその席を必要としている人に譲ってあげようと書かれるようになったあの時からだったのだと今更ながら気づいた。