くぎ煮

 明石のひろ子さんから「くぎ煮」が届いた。今年は寒さのせいか、いかなごが大きくならず、小さ目なのだそうだ。
 生姜味と山椒味に味付けされたくぎ煮は、それぞれ専用の容器に入れられ、くぎ煮パックで届けられる。いつのまにかひろ子さんは、くぎ煮の専門家になったようだ。
 初めはちょこっと好きで作り、兄弟などに送っていたが、だんだん需要が高まり「少し大変」と、私がかけた御礼の電話の奥で、ひろ子さんは笑う。
 でも、実は私もこの時期は今日か、今日かとこの日がくるのを待っている一人だ。