ペット 犬

 私がいつも買い物に行くイオンには、入り口を入ったところにペットショップがある。私はまずそこにしばらく立ち寄り、かわいい子犬達を眺めて楽しむことにしている。小さく仕切られた個室に2〜3匹ずつ入れられた子犬はころころと転げまわって遊んでいる。
 マルチーズや柴犬などの子犬は、生まれて間がないうちにこうして売りに出されたようで、餌をくれる店員さんを親のように慕っている。お姉さんの気配を感じると、ちぎれんばかりに尾を振って、その姿を必死で探し求めている。

 我が家でも過去に3匹の犬を飼ったことがある。私は子供の頃から犬を飼った経験がなく、怖さが先に立って近づけないのだが、夫が犬好きで、一軒家を購入すると,家族が入居する前から犬小屋づくりに精を出し、引っ越しの時には立派な犬小屋が出来ていた。そして、早速知り合いからセパードの子犬を分けてもらってきた。
 血統書付きの真黒なセパードが我が家の犬第1号だ。夫は家の裏で、ボールを投げてそれを拾わせたり、一緒にランニングしたりして可愛がっていた。
 家族で泊りがけの旅行に行く時があった。夫は肉屋で大量の骨を買い、留守番をする犬に与えた。犬はすぐに足で砂を蹴ってその骨に砂をかけて、骨を砂に埋めた。明日用の骨の保存だ。私は犬の賢さに感心した。
 しかし、この犬はジステンバーにかかり、割合早くに死んだ。
 第2号は、これも血統書付きのアイヌ犬だった。誇り高い犬で、全然人を近づけ無い。世話は全部夫がして可愛がっているにもかかわらず、近づくと歯を剥き出して唸った。ある日、ご飯をやろうとして、夫はこの愛犬に太股をいやというほど噛み付かれてしまった。
 第3号は、私が知り合いから貰った雑種の白い犬だった。たくさん生まれた子犬の中で1番かわいいのを私が選んでもらってきた。
ところが、この犬が大変なヤンチャ者で、めちゃくちゃに家の中を荒らしまわるので、仕方なく裏庭で飼うことにした。
 子供達も学校から帰ると裏庭に行って遊んだり、散歩をしたり、お小遣いから玩具などを買ってやったりして可愛がった。
 ある日、家族みんなで買い物に出かけたことがあった。当然この犬も一緒に連れて行き、スーパーの前の木に繋いで置いたのだが、買い物を終えて出てみると、犬がいない。みんなでその辺りをくまなく探したがどこにもいない。諦めて家路に着くと、いつも繋がれている場所にちゃんと坐って、私達の帰りを待っていた。
 またある日、家の前に見知らぬ犬が座って、じっと我が家の裏庭の方を見ている。どうしたのだろうと見ていると、中年の女の人がその犬を連れに来た。事情を聴くと、繋いでいた鎖を切って我が家の犬を見に来ているらしい。引きずられながらその日は帰って行ったが、翌日また、鎖を切ったらしく、その犬は同じところに来て我が家の犬の方をじっと見ていた。しかし、その翌日からはその姿を見かけなかったので、厳重に繋がれたのだろうと思う。