「橋の上の少年」  菅野雪虫著

 この小説は2001年に第36回北日本文学賞をとった小説だ。
 20年前ある地方都市で、6才の幼稚園児が突然消えた。
というショッキングな内容で始まるこの小説は、全体が非常にミステリアスで、心理描写もうまく、私は大変おもしろかった。
 文章も平易で人物の気持ちも分かりやすく、特に最後の、
 あの夫婦が、自分を望んでいたことを、知らなくてよかったと思った。もし、自分がそれを知っていたら、きっと望んでしまっただろう。少年の、彼等の息子の、確かな死の報せを……。

の部分が好きだった。しかし、30枚という短編の限られた枚数の中では、この内容はかなり無理があるとの意見も多い。