11月

 こころ   11月の詩  谷川俊太郎

    午前四時

  枕もとの携帯が鳴った
  「もしもし」と言ったが
  息づかいが聞こえるだけ
  誰なのかは分かっているから
  切れない

  
  無言は恐ろしい
  私の心はフリーズする

  
  言葉までの道のりの途中で
  迷子になったふたつの心を
  宇宙へと散乱する無言の電波が
  かろうじてむすんでいる

  
  朝の光は心の闇を晴らすだろうか




 2011年用の年賀はがきが今日、全国一斉に発売された。