美容院

 駅前の百貨店の中にある美容院に行っていた。雑誌などにも広告が出ているちょっと名の知れた美容院だ。3年前の開店の時から行っていた。ところがどうも人間関係が良くない。誰かに聞いた訳ではないが行っていれば何となく感じる。それに店長がしょっちゅう変わる。従って長年行っていてもちっとも親しくならない。いつまでも新しい客状態でだんだん苦しくなってきた。
 そんな時、人から商店街の中の美容室を紹介してもらった。行ってみた。紹介という事で10パーセントオフ。それにまあまあの出来。これから美容室はここに決めたと思った。お礼状だ、年賀状だ、案内のはがきだ、と親切なこと。よかったと思って一安心。
 パーマをかけたい時がきたので電話した。第3日曜は定休日とのこと、仕方なく前の百貨店の中の美容室へ我慢して行った。
 そして今日、カットをしようと商店街の中の美容室へ電話した。今日は第4日曜日だ。ところが出ない。いくら掛けても電話はりーん、りーんと鳴るばかり。縁がなかったのね。
 そうだ、住宅街にきれいな美容室があったっけ。私はその美容室目指して車を走らせた。ところがあれれ……、更地になっている。どうしようと思いながら車を走らせていると、美容室の看板が目に入った。良かったと思って、勇んでドアを開けた。
「今日は予約でいっぱいです」
と申し訳なさそうな顔。いえいえ、前日に予約しない私が悪いのです。
 とぼとぼと家路に向かう私の目に飛び込んできた一軒の美容室。いつも前を通りながら意識したことがない美容室。それが何故だろうと思うほど素敵な外観、前に沢山の車も止まっている。
 私はその店に入った。広い店内に優しいスタッフとスタイリストさん達。1時間の待ち時間で私は気に入った髪型にカットしてもらうことが出来た。これからはこの美容室に決めた!と思ったのでした。