読書

 今日の合評会は、水上勉氏の「太市」と森田さんの「移ろう日を超えて(一)」だった。「太市」は、女郎蜘蛛を飼い戦わせて遊ぶ少年達の一人「太市」が川へ落ちて背中を強く打ち、せむしになる。体が動かない太市が納戸に寝て、蚊帳の中で女郎蜘蛛を飼う。女郎蜘蛛と蚊帳の中で暮らす太市に水上文学の特徴が見られる。はじめと終わりの部分が「ぼく」の視点で真中がぼくらと三人の視点で書かれた額縁小説だ。蜘蛛を飼う描写が素晴らしかった。
「移ろう日を超えて」は園児が交通事故に遭ったことで精神を病む幼稚園の先生悦子、優しい夫の献身的な介護にも思わしい回復が無い。これからの展開が楽しみだ。